2010年11月13日の深夜に、尖閣問題の一連について自分なりに考えをまとめてみました。
twitterに投稿しながらやったので、主にはそのtweet(だいたい1時半から2時過ぎの間)のまとめとなりますことを先にお断りしておきます。
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ことのあらましについて最初に記載すべきなんでしょうが、なんだか今更の感もあるのでそこは省略します。
本件の論点は大きく4つに分けていいと思います。
1.逮捕した船長の●其雄氏(41)(●は擔」のつくりの部分)を処分保留で釈放したこと。
2.当該ビデオを政府は非公開とするものと決定したこと
3.ビデオを流出したことが守秘義務違反となるかどうか
4.ビデオが公開されたことで何が起きていたかが国民の知るところとなったことの意義
さらに、派生論点として「公務員が正義を守らなければならない存在だとすれば、その正義とは何か。形式優先か、実質優先か、実質優先ならそれはどのようなガイダンス(というかなんと言うか)で判断すべきか。」
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さて、1.と2.については、大前研一氏のおよそ1ヶ月前のコラムを読むと、政府としての対応がもうダメダメだったらしいということが分かります。外交と言えば響きはいいけど、結局中国との関係をどうするかってことに一本芯が通りきってなかった点が非常にまずかった。
戦略無き外交はクラスの仲良しごっこよりも性質が悪い。
大前氏の言うところの「二枚舌」もうまく使えてない。
この1と2は、私の中では特に議論はないと考えているところです。
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3については、犯人探しをしないでくれとか逮捕しないでくれとか嘆願の電話等があったようですが、形式的には重要情報を社外(社?)に持ち出している点から鑑みて、感心できないです。
職務上、公務員だからどうというのではなくて、普通に、社外秘扱いのものをネットにアップしたらまずい。これは倫理的な話であり、コンプライアンス問題です。
自宅でなくてネットカフェに持ち込んでアップロードしていたらしいので、疚しいと思う気持ちが本人にも多
少はあったということでしょう。
本当に問題ないと言えるのであれば自宅の環境からアップロードできたはずです。
(自宅にネットに接続されたPCがなかったのかもしれないですが・・・)
本人も100%胸を張ってできる事ではなかったと理解していたのだとすれば、やはりこれはまずいでしょう。
ただし、罪刑法定主義的な視点から考察すると、何が「秘密」であり、何が「漏洩」かという整理は難しいかもしれない。
ちょっと現実的でない仮定をしながら考えますと・・・。
この件は、尖閣諸島という日本の領域内で起きた厳然たる事故(事件)という事実を、場所柄とおりすがりの人が撮影ってわけにもいかず、現場にいた保安官がその様子を撮影していました、ということかと思います。
(この仮定はあまり意味をなさないかもですが)これが仮に都内の路上で中国人が運転する車がパトカーにぶつけて逃げてところをとおりすがりの一般人が携帯で動画撮影したものがネットにアップされても漏洩でも秘密でもない。
海上保安官が職務上撮影したという点と、当該データを事後的に政府が非公開としたため、「秘密」とされたと整理でき、それを持ち出したから「漏洩」なのだと考えます。
そうでなければ、本件は本質的に公開することに何ら問題はないと考えられます。
すると、そもそも「公開しない」という判断自体が弱いために、この騒動となってしまったと考えられます。外交(一応)上の配慮と呼ばれるものがその根拠ではあるそうですが、それは本当に根拠たる何かなのでしょうか。
・・・ええと形式の話にもどして、いずれにせよ、本質的には秘密にする必要性のないものを、政府が秘密にすると決定し、それに公務員が従わなかったという点、これは大問題です。
結果が手段を正当化することはありません。
しかし、4を考えるに、この保安官を逮捕して刑事罰を負わせるということと、先の船長に対する処遇がバランスしていないことがこの流出をきっかけに明確化されています。この点が非常に面白い。
かの保安官は動画を流出させて自分を罰せられる立場におくことで、間接的に船長の処分について抗議している、なんて具合にも考えられます。
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ひとつの事実にふたつの見方(ポジティブ、ネガティブ)。
ひとつの動画を見てもどのように感じて解釈するかはひとそれぞれだから、あれをみてどっちがぶつかったと思うかというのを言い合っても水掛け論にしかならないでしょう。
科学的に分析してその結果解釈されるものがあればそれが真実なんだろうと思います。
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とはいえ、あの動画は衝撃的でした。
日中間にたくさんある事件のたったひとつだけど、これまで不審に思っていたことが形を持って突きつけられたというか、理解させられたというか。
この方がジャーナリストだったらまた別の評価になってたと思います。それだけの意義はありました。
これだけ大騒ぎになったのですから。
個人的に今回の件から考察したいのは、上で派生論点としておいた「公務員が守るべき正義とは」について。
ただ、サンデルの本は買ってあるけど未読なのです。お恥ずかしい。そろそろ読まなくては・・・。
何が正義となるのか。非常に難しい命題です。
確かに大前氏が指摘するとおり、民主党は尖閣問題の歴史を知らなかったのかもしれない。
でも、こうなってしまった以上、今は色々もめるにしても、将来に向けてこれを契機に国益にかなう方向へもっていくのが政治家の腕の見せ所だろうと思います。
これは、ポジティブに解釈して、自民党時代の二枚舌から脱却できたんだと思うべきではないでしょうか。
起こったこと、やってしまったことを今更悔いてもしょうがない。前に向かうしか我々にはないのですから。
2010/11/13
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